こんにちは! うっちーです
年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。
問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。
問-31 老齢基礎年金の受給資格期間
Aさん夫婦の老齢給付について、誤っているものを選択する問題です。
ポイント
問-31を解くポイントはこちらです。
- 厚生年金保険の被保険者期間のうち20歳未満や60歳以上の期間は、老齢基礎年金の『保険料納付済期間』ではなく、『合算対象期間』になること。
- 誕生日が1日の人は20歳や60歳に達する月がひと月前倒しになること。
- 第3号被保険者期間を数えるときには配偶者が第2号被保険者であるかどうかに注意すること!!
線表の見本
す。問-31は頭の中だけで考えていると失敗しがち。線表を書くと解きやすくなります。
私は問題用紙の余白にこのような線表を書いています。
- 線表中の「S」は昭和です。平成は昭和に換算した方がわかりやすいです(平成+63)。
- 平成時代の幅がとれていなくて時空が歪んでいますが、そこは気にしなくてもいいです。ただし、夫婦の一方が第3号被保険者である期間の、もう一方の退職や再就職の時期の前後関係は大事です!
- 線表は小問ごとに該当部分だけ書いてもかまいませんが、第3号被保険者期間を数えるときの配偶者(夫)の状況にはご注意ください!
ここから、選択肢ごとに解説していきます。
選択肢(1)
夫:昭和58年4月~平成29年10月までの期間は、すべて保険料納付済み期間である。
「保険料納付済期間」ときたら、次のことを確認しましょう!
夫の線表を確認すると、Z省で国家公務員共済に加入していた期間は20歳以上60歳未満ですので、すべて保険料納付済期間とまります。
(1)は正しい
選択肢(2)
夫:平成30年4月~64歳に達するまでの期間のうち、保険料納付済期間は33ヵ月である。
問われているのが「保険料納付済期間」で、入社から退職までの期間が60歳をまたいでいます。
この場合、厚生年金保険の被保険者期間のうち60歳未満の期間のみ(水色の部分)を数えます。
線表を確認すると、2月1日生まれの夫が60歳になるのはS96年1月31日(誕生日の前日)です。
1月31日に60歳に達しているので、1月は60歳扱い→60歳未満なのはS95年12月まで。
S93.4~S95.12を数えると33ヵ月。
(95×12+12)ー(93×12+4)+1=33
(2)は正しい
期間の月数の計算方法はこちらにまとめています。
選択肢(3)
妻:昭和59年4月~平成元年10月の期間のうち、合算対象期間は20ヵ月である。
問われているのが「合算対象期間」で、入社から退職までの期間が20歳をまたいでいます。
この場合、厚生年金保険の被保険者期間のうち20歳未満の期間のみ(グレーの部分)を数えます。
線表を確認すると、12月5日生まれの妻が20歳になるのはS60年12月4日(誕生日の前日)です。
S59.4~S60.11を数えると20ヵ月。
これくらいの短期間なら、計算するよりもS59年度の12ヵ月にS60.4~11を手数えして足した方が早いかもしれませんね。
(3)は正しい
選択肢(4)
妻:平成元年11月~平成2年3月の期間は、合算対象期間である。
問われているのは「合算対象期間」です。
事例を確認すると、この期間は夫とはまだ結婚していません。昭和61年3月以前の期間でもありません。
単なる保険料未納期間であり、合算対象期間に該当しません。
(4)は誤り
「妻の昭和61年4月以降に国民年金保険料未納の期間がある」ケースは、じつは4回連続で出題されています。この期間は「合算対象期間」にはなりませんし、当然「受給資格期間」にもなりません。この選択肢は月数を数えることなく知識だけで解けますので、次回も同じ出題があったらここから先に正誤判断すると手早く消込みできますね!
選択肢(1)~(5)は、解きやすいものから順に解いてOKです!
婚姻期間の合算対象期間のポイント
- 結婚以後~昭和61年3月以前
- 配偶者が会社員 or 公務員である
- 国民年金に任意加入していない or 任意加入しているけど保険料未納
選択肢(5)
妻:平成2年4月~60歳に達するまでの期間のうち、第3号被保険者期間は413ヵ月である。
問われているのは「第3号被保険者期間」なのですが…
この選択肢、論点が複数あって難易度が高いです!
- 結婚後に夫が退職ー再就職したため、厚生年金保険や共済組合に加入していない期間がある。
- 妻が60歳に達する前に夫が退職している。
- 1日生まれの夫が年齢到達日に退職している。
線表のピンクの塗りつぶし部分を数えていきます。
【夫のY社の期間】夫は64歳に達する日(誕生日である2/1の前日の1/31)に退職しています。月末退職はその月(1月)までを厚生年金の被保険者期間として数えます。妻の第3号被保険者も同じく1月までとなります。
S65.4~S92.10→331ヵ月
S93.4~S100.1→82ヵ月
合計で413ヵ月
(5)は正しい
この選択肢は難易度が高いのでタイムロスするうえに正誤判断を誤りがちです。他の選択肢が確実に正誤判断できるのであれば、一巡目で無理に解かないのも手だと思います。
第3号被保険者期間の引っかけポイント
- 期間の途中で夫が離職している期間がある
- 妻が60歳になる前に夫が退職している
- 妻が60歳になる前に夫が65歳になっている
問‐32 夫婦の老齢給付
Aさん夫婦の老齢給付について、誤っているものを選択する問題です。
ポイント
問-32を解くポイントはこちらです。
- 女性の共済の報酬比例部分の支給開始年齢は男性と同じ
- 経過的加算額は65歳の誕生月の翌月分から(1日生まれは誕生月分から)
- 加給年金額、振替加算は65歳の誕生月の翌月分から(1日生まれは誕生月分から)
では、実際の問題を見てみましょう。
選択肢(1)
夫:報酬比例部分の支給開始年齢は、64歳である
夫は昭和36年2月1日生まれです。
「にわしにむりじい」
→28.4.2 61
+2→30.4.2 62
+2→32.4.2 63
+2→34.4.2 64
+2→36.4.2 65(特別支給なし)
昭和36年生まれなので65歳からと思ってしまいがちですが、夫は2月生まれなので一つ上の区分の64歳からです。
(1)は正しい
早生まれに注意!!
選択肢(2)
夫:65歳到達月の翌月分から、老齢厚生年金に経過的加算が加算される。
正しい文章です。
従来は定額部分が支給されるかという論点でしたが、今回は経過的加算が初めて論点になりました。
(2)は正しい
経過的加算については問-36で詳しく解説します。
選択肢(3)
夫:加給年金額は、令和8年2月分から支給される。
夫は昭和36年生まれです。
S36+65=S101
S101 - 93=R8
年はあっています。
後は加算が開始される月ですが、
・基本的には65歳の誕生月の翌月分から
・1日生まれの人は65歳の誕生月の当月分から
夫は2/1生まれなので、2月分からが正しいです。
(3)は正しい
選択肢(4)
妻:報酬比例部分の支給開始年齢は、64歳である。
妻は地方公務員共済の期間はありますが、民間の厚生年金保険の期間はありません。
共済の場合は女性でも男性と同じ支給開始年齢になりますので、支給開始年齢は65歳です。
(4)は誤り
選択肢(5)
妻:令和13年1月分から、老齢基礎年金に振替加算が加算される。
振替加算が加算されるのは65歳の誕生月の翌月分から(1日生まれは誕生月分から)です。
S40+65=S105
S105ー93=R12
R12.12の翌月はR13.1ですので、令和13年1月から加算されるで正しいです。
(5)は正しい
問題の論点にはなっていませんが、夫が240月(20年)以上厚生年金保険や共済組合に加入しており、夫が原則的に65歳以上になっていることも振替加算の大事な要件です。(夫・妻が逆のパターンも可)
実務ではめちゃめちゃ大事!
まとめ
「厚生年金を払っているのに期間に含まれないのはなんか変…」と思われるかもしれませんが、ここではあくまでも「老齢基礎年金」にかかる保険料納付済期間の話ですので、国民年金を本来納める期間と同じと覚えておいてください。
過去問でも 7割以上の確率でAさん夫婦のどちらかが1日生まれです。
以上、問-31.32の解説でした。
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