ここでは、年アド3級の技能応用問題を解くための知識についてお伝えしていきます。
問-41.42の登場人物はF夫さんとその妻、そして3名の子です。
F夫さんが障害等級に該当すると認定されたらどうなる?という設定です。
主なポイントはこちらです
- 原則の障害認定日
- 1級の障害基礎年金の年金額の計算式
- 子どもが(年金における)子ではなくなる時期
- 障害年金が何年何月分から支給されるか?
- 障害厚生年金の特徴(300月みなし、配偶者加給年金額など)
- 障害厚生年金を受給しながら働いたらどうなるか?
障害基礎年金
障害基礎年金の要件
『障害基礎年金』は、次の3つの要件を満たしている者に支給されます。
【対象】初診日において国民年金の被保険者であること。または、被保険者であった者で60歳以上65歳未満かつ国内居住中に初診日があること。
【納付】一定の保険料納付要件を満たしていること。
【状態】障害認定日において障害等級1級または2級の障害状態にあること。
これらの要件はとても大事なことなのですが、技能応用編では出題のポイントにはなりません。
そもそも障害年金が支給されないと問題にならないので…
試験でポイントになりやすい部分を見ていきましょう!
初診日と障害認定日
次の3つがめちゃめちゃ大事です!!!
- 初診日 → 障害のもとになった病気やケガで初めて医療機関を受診した日
- 障害認定日 → 原則として初診日から1年6ヵ月を経過した日※
- 障害年金は障害認定日の翌月分から支給される
(※障害認定日については短縮されるパターンもあるのですが、技能応用編の問題では今のところ原則の1年6ヵ月で出題されています。)
大事なのでこちらの図でしっかりイメージを固めてください。
障害基礎年金の年金額
遺族基礎年金の年金額は次の通り
さらに、受給する人に子供がいる場合、「子の加算額」が加算されます。
2人目までと3人目以降で加算額がちがうのがポイント!
本当は次の通りの数字なのですが、年アド3級ではこれくらいのざっくりした数字でいいです。
令和6年度の子の加算
・子2人まで 234,800円
・子3人目以降 78,300円
年金における「子」とは
「子」には年齢等の要件があるのもめっちゃ重要ポイント!
- 18歳に達する年度の年度末まで(ざっくり言うと高校卒業まで)
- 1級,2級相当の障害がある子の場合は、20歳になる前まで。
※子には「死亡したものに生計を維持されていた」とか「結婚していない」という要件もあるのですが、3級の技能応用編では気にしなくていいです。
問-41.42の事例では、F夫さんの3名の子供のうち2名が健常者で、1人が障害がある子という設定が多いです。
この設定を使って、次のようなことを論点にしてきます。
- F夫さんに障害基礎年金の支給が始まる月(障害認定日の翌月)と一番上の子が18歳の年度末を迎える月はどちらが早いか?(支給当初の子の加算は3人分か2人分か)
- 障害のある子が20歳になるのと、障害のない子が18歳の年度末を過ぎるのと、どちらが遅いか?
ではここで、ドリルで再確認しましょう
すぐやる!ドリル
知識の確認と定着のためのオリジナル問題です。年アド試験の出題形式とは異なります。
初診日が令和6年9月の場合、障害認定日は( 令和 年 月)になる。
令和8年3月
上記の場合、障害基礎年金は(令和 年 月)分から支給される。
令和8年4月
障害基礎年金の受給権者に生計を維持されている18歳の( )までの子がいる場合、障害基礎年金に子の加算が加算される。
年度末
障害基礎年金の受給権者に生計を維持されている( )歳未満で、1級または2級相当の障害のある子がいる場合、障害基礎年金に子の加算が加算される。
20
平成19年9月生まれ,障害等級2級相当の障害がある子よりも、平成21年5月生まれ,障害がないの子の方が、『子』の要件からはずれるタイミングが( 早い or 遅い )
遅い
平成19年9月生まれ,障害等級2級相当の障害がある子よりも、平成21年3月生まれ,障害がない子の方が、『子』の要件からはずれるタイミングが( 早い or 遅い )
早い
障害厚生年金
障害厚生年金のポイント
次に、『障害厚生年金』の要件をみていきましょう↓
【対象】初診日に厚生年金の被保険者であること!!(障害認定日に被保険者でなくなっていても大丈夫)
【納付】一定の保険料納付要件を満たしていること
【状態】障害認定日に障害等級1級または2級、3級の障害状態にあること(原則)
障害厚生年金は、「初診日が厚生年金保険の被保険者期間中にあるかどうか」が超重要です!!
しかし、問題の設定上、技能応用編では論点になりません。
3級は障害厚生年金だけの等級です。障害基礎年金には存在しません。
また、障害厚生年金に該当する障害の状態よりも軽い障害が残ったときに受け取ることができる『障害手当金』が存在します。
事例では1級・2級の障害状態に該当するため、3級や障害手当金についても技能応用編では今のところ出題されていません。
障害厚生年金の年金額
年金額は、2級が老齢厚生年金の報酬比例部分と同じ要領の計算方法で、1級がその1.25倍のです。
ただし、被保険者期間の月数に特徴があります!
それが『300月みなし』です。
たとえば、入社してまだ半年くらいしか勤めていない新入社員であっても、25年間勤めたものとして計算してくれるということです。
なお、実際の被保険者期間が300ヵ月よりも多ければ、その実際の期間で計算します。
ということは…
事例でF夫さんの厚生年金保険に加入していた期間が300ヵ月未満なのに、「障害厚生年金の年金額は実期間で計算する」ときたら、その選択肢は✖です。
配偶者加給年金額
1,2級の障害厚生年金には、『配偶者加給年金額』が加算されます。
加算額は約23万円です。
(令和6年度は234,800円)
老齢厚生年金の配偶者加給年金額とは金額がちがうので注意してください!
厚生年金保険の被保険者になった場合
障害厚生年金は、受給している人が厚生年金保険に加入したからといって、それだけで支給停止されることはありません。
障害厚生年金のポイントは主に3つ
障害年金には更新があります。傷病によっては、更新の際に就労状況が考慮されて支給可否が決まる場合もありますので、働いても障害年金に影響がないとは言えません。
ただ、問-41.42で聞かれるのは在職老齢年金のように報酬と年金との関係で支給停止になるか?です。その仕組みは現在のところありません!
すぐやる!ドリル
障害厚生年金の年金額は、厚生年金保険の被保険者期間が( )ヵ月未満の場合は、( )ヵ月として計算する。
300
1級、2級の障害厚生年金には子の加算が加算される。( ○ or ✕ )
✕(子の加算は障害基礎年金に加算されます。)
障害厚生年金の受給権者が厚生年金保険に加入して就労した場合、報酬と年金額の合計額によって年金額の一部または全部が支給停止される。( ○ or ✕ )
✕(障害厚生年金には在職老齢年金のような仕組みはありません。)
以上、問41.42のインプットでした。
おつかれさまです!
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