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うっちー
沖縄県那覇市で開業している社労士です。
「年金の正しい理解を広めたい」をモットーに、安心・納得の年金受給をサポートしています。

【資格】特定社会保険労務士/1級DCプランナー/年金アドバイザー2級/AFP/キャリアコンサルタント/潜水士
※社労士は「公的年金に関する唯一の国家資格者」です。

年アド3級過去問解説 2024年3月 問-37.38

年アド3級過去問解説
うっちー

こんにちは! うっちーです

年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。

こちらの記事は試験団体である銀行業務検定協会様のご了解のうえで、過去問題の著作権に触れない範囲での掲載をしております。

うっちー

問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。

目次

問‐37 在職老齢年金

D夫さんが㈱U社に勤務したときの在職老齢年金に関する下記(①~④)の記述について、正しいものの数がいくつあるかを選択する問題です。

こういった出題は個数問題と呼ばれます。

4つの文章の正誤判断をすべて行わないと答えられない出題形式になっています。

ポイント

  • その月以前1年間の標準賞与額がいくらなのか?
  • 求めるものは『支給停止額』か?『年金の月額』か?

線表

この問題は、次ような線表を書いて整理するとよいです。

①は『基本月額』

【基本月額】
 年金額 × 1/12(年金額を12で割ってひと月当たりの額にしたもの)

基本月額は、老齢厚生年金から『経過的加算』『加給年金額』を除いて計算します。

今回は44年以上の厚生年金保険の被保険者期間がありますが、在職老齢年金の計算をするということは在職中ですので、『定額部分』は支給されません。(長期特例に該当するのは退職した場合。)

報酬比例部分の1,290,000円のみから計算します。

1,290,000円×1/12=107,500円

①の記述は正しい

②は『総報酬月額相当額』

【総報酬月額相当額】
 標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額の合計 × 1/12

標準報酬月額に『計算する月から数えた直近一年分の標準賞与額の合計額をひと月当たりにした額』を加えます。

②では令和6年6月分の総報酬月額相当額を計算しますので、R5.7~R6.6の間の標準賞与額を含めて計算します。

30万円+96万円×1/12=380,000万円

②の記述は誤り

U商事の夏のボーナスが6月ではなく7月支給であることがひっかけでしたね!実務的にも、公務員の夏のボーナスは6月ですが、民間の場合は必ずしもそうとは限りません。

今回は論点になっていませんが、標準賞与額には上限があり、1回の支給につき150万円であることにも注意!

③は『支給停止額』

【支給停止額 】
{(総報酬月額相当額+基本月額)- 支給停止調整額 } × 1/2

最後の『×1/2』を忘れないように!

令和5年度の支給停止調整額は48万円

基本月額は①で求めた107,500円

令和6年7月の総報酬月額相当額にはR5.8~R6.7の間の標準賞与額を含めて計算します!

総報酬月額相当
30万円+(96万円+54万円)×1/12=425,000円

支給停止額
(107,500円+425,000円-480,000)×1/2=26,250円

③の記述は正しい

令和6年度の支給停止調整額は50万円に改訂されています!

④は『老齢厚生年金の月額』

基本月額から令和6年12月の支給停止額を差し引いた額です。

基本月額は①で求めた107,500円

令和6年12月の総報酬月額相当額は、R6.1~R6.12の間の標準賞与額を含めて計算します。

R6.12の総報酬月額相当額は
30万円+(54万円+54万円) ×1/12=39万円

R6.12の受給額は
107,500円-(107,500円+39万円-48万円)×1/2=98,750円

支給停止額まで計算して終わりにしないように注意!

④の記述は正しい

①③④の3つが正しいので(4)が正解

問‐38 高年齢雇用継続給付および在職老齢年金との併給調整

D夫さんがU商事に勤務して高年雇用継続基本給付金(以下、基本給付金)を受給する場合のアドバイスについて、誤っているものを選ぶ問題です。

ポイント

基本給付金の月額と年金の支給停止額では、計算のもとになるものが違います。

  • 基本給付金 → 賃金
  • 年金の支給停止額 → 標準報酬月額

選択肢(1)

基本給付金の月額は、賃金を使って計算します。

賃金が60歳到達時の賃金に比べて61%未満に低下したときは賃金(月給)の15%が支給されます。

うっちー

賃金には上限額があります!

D夫さんは60歳到達時の賃金が上限額486,300円を超えているので、計算には486,300円を使います。

295,000円÷486,300円≒0.607
→61%未満に低下している

295,000円×15%=44,250円

選択肢(1)は正しい

基本給付金の支給率は賃金の低下率に応じて0.44%~15%まで細かく定められています。

選択肢(2)

年金の支給停止額は標準報酬月額を使って計算します。

標準報酬月額が60歳到達時の賃金に比べて61%未満に低下したときは標準報酬月額の6%が支給停止されます。

D夫さんは60歳到達時の賃金が上限額486,300円を超えているので、計算には486,300円を使います。

300,000円÷486,300円≒0.617
→61%未満ではない

61%未満に低下した場合の支給停止は
300,000円×6%=18,000円

D夫さんは標準報酬月額月額の低下率が61%未満ではないため、支給停止される額は18,000円よりも少なくなります。

選択肢(2)は正しい

選択肢(3)

基本給付金は、賃金(月給)が60歳到達時の賃金に比べて75%未満に低下した場合に支給されます。

試験では61%未満に低下して賃金の15%が支給されるケースが出題されがちなのですが、実際には賃金の低下率に応じて支給率が細かく定められています。

うっちー

次の行をタップもしくはクリックしてみてください。

厚生労働省Web 「Q&A~高年齢雇用継続給付~」より

選択肢(3)は誤り

選択肢(4)

基本給付金が『いつまで支給されるのか』を論点にしています。

基本給付金は、65歳に達する月まで支給されます。(ただし、各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。)

選択肢(4)は正しい

選択肢(5)

賃金と基本給付金の合計額には上限があります。

令和5年8月からは376,750円です。(この額は毎年8月1日に変更されます。)

350,000円より多いが正しいです。

令和6年8月からは376,750円に変更されています。

うっちー

約37万円と、おおまかでいいので覚えておきましょう!。

選択肢(5)は正しい

まとめ

問37は①~④のすべての正誤判断が合わないと正解できない出題方法になっています。試験の際に見直し時間があったら、問37は優先的に見直しをした方が良いと思われます。

求めるものが『支給停止額』なのか『年金の月額』なのかについては、くれぐれもご注意ください!!

問38は『高年齢雇用継続基本給付金』が出題されることもあります。

以上、問‐37.38の解説でした。

掲載している解法は私のオリジナルです。無断転載・無断転用を禁止しております。

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