
こんにちは! うっちーです
年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。



問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。
2024年3月 問‐35
C夫さんが退職後受給する老齢厚生年金の年金額について、正しいものを選択する問題です。
問題文に「(経過的加算を除く)」とあるので、報酬比例部分の年金額を求めます。



計算式ではなく、計算結果を求める問題です。
本来であれば加給年金額が加算される可能性も検討すべきですが、事例を見ると妻は33年間加入した特別支給の老齢厚生年金を受給中ですので、C夫さんの老齢厚生年金に加給年金額は加算されません。
報酬比例部分の計算式は、ざっくり言うとこのような感じでしたね


ポイント
- 平成15年4月を境に前後の期間を2つに分けて計算してから合計すること。
- 月末に退職した場合はその月までカウント、月の途中に退職した場合はその月の前月までカウント
- 本来水準ときたら新乗率を使うこと。
線表
この問題を解くときは線表を書いて整理するとよいです。
まずは、『入社』と『退職』。そして、その間に『H15』を書き加えます。平成15年は総報酬制が実施された年ですね。


次に、それぞれの年月を入れていきます。



昭和で統一したほうがわかりやすいです。
退職は63歳の誕生日ですから、S36年+63=S99年
63歳に達する日に退職ということは、誕生日の前日である10月30日が退職日。
月の途中の退職なので、その前月である4月までが被保険者期間に含まれます。
平成15年には63を足してS78年にします。
H15.4をまたいだ2つの期間が整理できました!


総報酬制導入前と後の月数
期間①・期間②の月数を数えます。
①(78×12+3)ー(59×12+4)+1=228ヵ月
②(99×12+9)ー(78×12+4)+1=258ヵ月


それぞれの期間の月数が割り出せました。


報酬の平均と乗率
それぞれの期間の報酬の平均を事例から読み取ります。
「平均標準報酬月額」「平均標準報酬額」と書かれている部分です。



総報酬制実施後(H15.4以降)は、賞与も含めて報酬の平均を計算しているため名称に『月』がつきません。
①平均標準報酬月額:384,000円
②平均標準報酬額:465,000円
次に乗率について。
事例の文中に『(本来水準)』とあることから、使用するのは『新乗率』です。
新乗率は分子の小数点以下の数字が小さい方です。
①7.125/1000
②5.481/1000
ここまで確認できたら、数式にしていきます。
384,000円×7.125/1000×228ヵ月+465,000円×5.481/1000×258ヵ月
≒1,281,364円
選択肢(1)が正しい
2024年3月 問‐36
C夫さんが退職後受給する老齢厚生年金に加算される経過的加算の計算式について、正しいものを選ぶ問題です。
ポイント
- 定額部分の期間の上限は480ヵ月
- 定額部分の単価や老齢基礎年金の満額は、多いほうを選ぶ
- 老齢基礎年金の年金額の計算に使う期間は20歳以上60歳未満
経過的加算の計算式はこちらです。


図で示すと、ピンク色の部分(定額部分の単価×厚生年金保険の被保険者期間)を計算して…


そこから水色の部分(老齢基礎年金として計算した額)を差し引きます。このとき、国年1号や3号の期間は計算に含めません。


残ったピンク色の部分が経過的加算です。図の通り、20歳以上60歳未満の期間にもごくわずかですが経過的加算が発生します。


問36の選択肢の計算式はこちら


定額部分の期間の上限
計算式の『単価×○ヵ月』の部分は『定額部分』を計算しています。
(1)~(5)いずれも480ヵ月なので、今回はこの論点では絞り込みはできません。
生年月日による単価・満額のちがい
定額部分の単価・老齢基礎年金の満額については昭和31年4月2日以後生まれの金額を使います。



そうでない方を消し込みします。


1,696円は昭和31年4月1日以前生まれの人の定額部分の単価なので、選択肢(1)(2)が消えます。
老齢基礎年金の計算に含める期間
計算式の『816,000円×○/480の部分』は『老齢基礎年金』を計算式しています。
ただし、通常の老齢基礎年金の計算とは違う部分があります。
C夫さんが入社したのは20歳に達するS56年10月より後ですから、『厚生年金保険の被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間』が480ヵ月になることはありません。


これで選択肢(5)も消えます。
次に、『入社した月~60歳に達する月の前月まで』の月数を数えます。
先ほどの線表に60歳到達時点を書いて確認します。


S36年10月31日生まれのC夫さんが60歳に達するのはS96年10月30日。その前月はS96年9月。
【期間の月数の計算】
(96×12+9)ー(59×12+4)+1=450


計算式の最後が 450ヵ月/480ヵ月になっている(4)が正解ですね!
選択肢(4)が正しい
先ほどの月数の計算ですが、2択まで絞れているならインチキで時短できます。
年数については月数に換算するときに×12をしますから、計算結果の一の位は必ず偶数になります。あとは、半端な月数が偶数になるか?奇数になるか?です。
期間の始点が4月で終点が9月ですから、
9ー4+1=6(偶数)
450ヵ月・451ヵ月のうち一の位が偶数の方が正解!
という考え方でも解けます。
まとめ
どちらの問題も、期間の月数をひと月でも数え間違えると誤りの選択肢を選びかねない問題です。線表を書いてしっかり確認しましょう!
経過的加算の問題は一見難しそうに感じますが、消去法で選択肢を一気に絞ることができます!



慣れると解きやすい問題ですよ!
以上、問‐35.36の解説でした。
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