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うっちー
沖縄県那覇市で開業している社労士です。
「年金の正しい理解を広めたい」をモットーに、安心・納得の年金受給をサポートしています。

【資格】特定社会保険労務士/1級DCプランナー/年金アドバイザー2級/AFP/キャリアコンサルタント/潜水士
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年アド3級過去問解説 2024年10月 問-37.38

年アド3級過去問解説

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うっちー

こんにちは! うっちーです

年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。

こちらの記事は試験団体である銀行業務検定協会様のご了解のうえで、過去問題の著作権に触れない範囲での掲載をしております。

うっちー

問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。

目次

問‐37 在職老齢年金

D夫さんが㈱U興産に勤務したときの在職老齢年金に関する(①~④)の記述について、正しいものの数がいくつあるかを選択する問題です。

こういった出題形式は個数問題と呼ばれます。

4つの記述の正誤判断をすべて行わないと答えられない出題形式になっています。

ポイント

  • その月以前1年間の標準賞与額がいくらなのか?
  • 求めるものは『支給停止額』か?『年金の月額』か?

線表

この問題は、次ような線表を書いて整理するとよいです。

それぞれの記述が「何についてたずねているのか?」が重要です!!

うっちー

基本月額などの単語に下線を引いて意識するといいですよ!

①は『基本月額』

【基本月額】
 年金額 × 1/12(年金額を12で割ってひと月当たりの額にしたもの)

基本月額は、老齢厚生年金から『経過的加算』『加給年金額』を除いて計算します。

1,810,880円ー49,780円ー408,100円
=1,353,000円

1,353,000円×1/12
112,750円

①の記述は正しい

②は『総報酬月額相当額』

【総報酬月額相当額】
 標準報酬月額 + その月以前1年間の標準賞与額の合計 × 1/12

標準報酬月額に『直近一年分の標準賞与額の合計額をひと月当たりにした額』を加えます。

直近一年は、当月を起点に遡って数えます。

②では令和7年6月分の総報酬月額相当額を計算しますので、R6.7~R7.6の間の標準賞与額を含めて計算します。

賞与はR6.7分の90万円ですね。150万円以下なので、標準報酬月額はそのまま90万円

34万円+90万円×1/12
41万5千円

②の記述は誤り

うっちー

V社を11月に退職しているため、12月の賞与を受け取っていないことがひっかけですね!

今回は論点になっていませんが、標準賞与額には上限があるため、1回の支給につき150万円を超えていたとしても150万円で計算することにも注意!

③は『支給停止額』

【支給停止額 】
{(総報酬月額相当額+基本月額)- 支給停止調整額 } × 1/2

最後の『×1/2』を忘れないように!

令和6年度の支給停止調整額は50万円

基本月額は①で求めた112,750円

令和7年7月の総報酬月額相当額にはR6.8~R7.7の間の標準賞与額を含めて計算します!

総報酬月額相当
34万円+36万円×1/12=37万円

支給停止額
(112,750円+37万円-50万円)×1/2
ー8,625円

支給停止額がマイナスなので支給停止はありません。

③の記述は誤り

うっちー

ちなみに、令和7年度の給停止調整額は51万円に改訂されることが決まっています。

④は『老齢厚生年金の月額』

基本月額から令和7年12月の支給停止額を差し引いた額です。

基本月額は①で求めた112,750円

令和7年12月の総報酬月額相当額は、R7.1~R7.12の間の標準賞与額を含めて計算します。

R7.12の総報酬月額相当額は
34万円+(36万円+36万円) ×1/12
=40万円

R7.12の支給停止額は
(112,750円+40万円-50万円)×1/2
=6,375円

R7.12の在職老齢年金の月額は
112,750円-6,375円
=106,375円

④の記述は正しい

支給停止額まで計算して終わりにしないように注意!

①④の2つが正しいので(3)が正解

問‐38 高年齢求職者給付金

D夫さんがU興産に68歳到達月まで勤務し同月に退職した場合、雇用保険の高年齢求職者給付金(以下、高齢給付金)を受給する場合のアドバイスについて、誤っているものを選ぶ問題です。

ポイント

基本給付金の月額と年金の支給停止額では、計算のもとになるものが違います。

  • 基本給付金 → 賃金
  • 年金の支給停止額 → 標準報酬月額

選択肢(1)

高齢給付金は、離職の日以前の被保険者であった期間が6ヵ月以上1年未満の場合は基本手当日額の30日分、1年以上の場合は50日分です。

うっちー

一時金として支給されます。

D夫さんはU興産に1年以上勤務する予定なので基本手当日額の50日分が支給されます。

6,200円×50日
=310,000円

選択肢(1)は正しい

選択肢(2)

基本手当日額相当額は、被保険者期間として計算された最後の6ヵ月間に支払われた賃金総額を基にして計算されます。

文章の「3ヵ月間」が間違いですね。

選択肢(2)は誤り

選択肢(3)

高齢給付金と老齢厚生年金との調整はありません。

高齢給付金を受給しても、老齢厚生年金が支給停止されることはありません。

選択肢(3)は正しい

選択肢(4)

高齢給付金を受給するためには、ハローワークで求職の申し込みをする必要があります。

基本給付(いわゆる失業保険)と同じように求職の申し込みが必要です。退職したら無条件で受給できるわけではありません。

うっちー

高年齢『求職者』給付ですからね!

選択肢(4)は正しい

選択肢(5)

高齢給付金は要件を満たせば再び受給できます。受給回数は特に制限されていません。

選択肢(5)は正しい

まとめ

問37は①~④のすべての正誤判断が合わないと正解できない出題方法になっています。試験の際に見直し時間があったら、問37は優先的に見直しをした方が良いと思われます。

求めるものが『支給停止額』なのか『年金の月額』なのかについては、くれぐれもご注意ください!!

問38は『高年齢雇用継続基本給付金』が出題されることもあります。

以上、問‐37.38の解説でした。

掲載している解法や覚え方のコツは当ブログのオリジナルです。無断転載・無断転用を禁止しております。

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