こんにちは! うっちーです
年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。
問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。
問‐43 国民年金の遺族給付
G子さんおよび子が受給できる遺族給付について、誤っているものを選択する問題です。
遺族基礎年金が出題の中心ですが、『死亡一時金』のように年金ではなく一時金で支給されるものもあるため、『遺族”給付”』という表現になっています。年アド試験はこの辺の言葉にすごく気を使っていて、年金を知れば知るほど、「ほほー」と思えるところが増えてきますよ。
ポイント
- 遺族基礎年金が誰に支給されるか
- 死亡日の翌月時点で子が何名いるか
- 死亡一時金は支給されない!!
選択肢(1)
遺族基礎年金が誰に支給されるのか?
遺族基礎年金は子の加算額も含めて配偶者に全額が支給されます。そして配偶者が受給している間は子に対する遺族基礎年金は支給停止されます。
子の加算額について、「約23万が上の子に、約23万が2番目の子に支給される…」というイメージでとらえてしまいがちになるのですが、そうではなくて、基本部分(約81万)+子の加算額の合計額がまるっと配偶者に支給されます。
選択肢(1)は正しい
選択肢(2)
G子さんが再婚したときに遺族基礎年金の受給権がどうなるのか?
遺族基礎年金を受給している配偶者が再婚した場合は次のようになります。
- 配偶者→失権する
- 子→失権しない
G子さんの受給権が消滅することは正しいのですが、子の受給権は消滅しませんので誤りです。
選択肢(2)は誤り
余談ですが、子が受給する場合の遺族基礎年金は「生計を同じくしている父または母がいる」場合は支給停止されます。
そのため、連れ子として親の再婚先で生活している場合は受給権こそ失わないものの、受給はできません。何らかの理由で父母と生計が別になると、支給停止が解除されて受給できるようになります。
遺族厚生年金は扱いが違っており、親が再婚して失権した場合は子に支給されます。
(細かい話なので3級での出題可能性は低いですが…)
選択肢(3)
死亡一時金が支給されるか?
問43は事例の設定上死亡一時金は支給されません!
死亡一時金は国民年金保険料の掛け捨て防止の役目を持っています。年金が発生しないときに支給されるものなので、遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。
この事例では遺族基礎年金が支給されないと問題にならないので、死亡一時金の支給要件が揃うことはあり得ません!
そのため、次の2択でさくっと処理できます。
- 死亡一時金は支給されない ⇒ 正
- 死亡一時金が支給される ⇒ 誤
選択肢(3)は正しい
選択肢(4)
子の加算が何名分加算されるか?
夫が死亡した月の翌月に子の要件に該当する子が何名いるのかを確認します。
死亡した月は令和6年3月
その翌月は令和6年4月
長男が18歳到達年度の年度末を迎えるのは…
18.3+18=36.3
36.3-30=R6.3
長男は早生まれの3月生まれなので、18歳到達月がそのまま18歳到達年度の年度末になります。
令和6年4月において、長男は子の要件から外れているので、子は2名として加算額を計算します。
選択肢(4)は正しい
選択肢(5)
寡婦年金の受給権もあるのか?
寡婦年金の主な要件はこちら
- 夫が国民年金の第1号被保険者として保険料を10年以上 納付もしくは免除等している
- 夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給することなく死亡
- 夫との婚姻期間が10年以上継続
このうち、2.は事例の設定上気にしなくてかまいません。
事例を確認すると、1.の国民年金の納付は満たしており、3.の婚姻期間も満たしています。
また、遺族基礎年金を受給してことがある妻でも遺族基礎年金の失権後、60歳から65歳に達するまでの間に寡婦年金を受給することができます。
選択肢(5)は正しい
問‐44 遺族厚生年金
G子さんおよび子が受給できる遺族厚生年金について、誤っているものを選択する問題です。
ポイント
- 遺族厚生年金が短期要件か長期要件か
- 中高齢寡婦加算が加算されるか(短期要件or厚年のみ20年以上)
選択肢(1)
G子さんが受給できるのは65歳に達するまでか?
配偶者が受給する遺族厚生年金は、基本的に生涯受給できます。(再婚等で失権しない限り。)
「夫死亡時に30歳未満の子のない妻」は5年有期になりますが、G子さんは該当しません。
選択肢(1)は誤り
現在、遺族厚生年金の見直しが検討されていますが、まだ先の話です。
誤っている選択肢を選ぶ問題なのでこれで解けてしまいましたが、残りの選択肢も解説していきます。
選択肢(2)
遺族厚生年金の受給権者であるG子さんが厚生年金保険の被保険者になった場合でも支給停止されないのか?
受給権者の65歳以降の老齢厚生年金と調整される仕組みはありますが…この質問の論点とはちがいますね。
選択肢(2)は正しい
選択肢(3)
年金額が実期間で計算されるのかどうか?
これは、短期要件と長期要件どちらに該当するのかという問題です。
短期要件①②③に該当するのかを確認していきましょう。
- 夫は死亡時に国民年金に加入しています→①に該当なし
- 病気の初診日は国民年金の期間にあります→②に該当なし
- 障害厚生年金を受給している記述はありません→③に該当なし
短期要件に該当していないので、実期間で計算されます。
H23.8~R4.7は132ヵ月であっています。
選択肢(3)は正しい
本来は国民年金の保険料納付期間も合算して300ヵ月以上を満たしているかも確認するべきですが、遺族厚生年金が支給されないと問題にならないので、そこは満たしていると考えました。
選択肢(4)
中高齢寡婦加算が加算されるか?
短期要件に該当するか、そうでなければ厚生年金保険の被保険者期間のみで20年(240ヵ月)以上あるかを確認します。
フローはこちら
(3)で短期要件に該当せず、厚生年金保険の被保険者期間は132ヵ月しかないことがわかっていますので、中高齢寡婦加算は加算されないのが正しいです。
選択肢(4)は正しい
選択肢(5)
遺族厚生年金と遺族基礎年金が併給されるか?(両方受給できるか)
この2つが併給出来なかったら意味無いですよね…
選択肢(5)は正しい
まとめ
遺族年金の問題では、寡婦年金と中高齢寡婦加算がごっちゃにならないようにしっかり押さえ分けしておきましょう。
字面が難しく感じたら、自分なりの呼び方で呼んじゃいましょう!
また、遺族厚生年金については、障害厚生年金とちがって短期要件・長期要件によって扱いが変わります。技能・応用編では次の押さえ分けで対処できます。
- 短期要件に該当すれば「300月みなしあり」「かふ加算もあり」
- 長期要件なら「実期間で計算」「かふ加算は厚生年金だけで20年以上必要」
以上、問‐43・44の解説でした。
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