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うっちー
沖縄県那覇市で開業している社労士です。
「年金の正しい理解を広めたい」をモットーに、安心・納得の年金受給をサポートしています。

【資格】特定社会保険労務士/1級DCプランナー/年金アドバイザー2級/AFP/キャリアコンサルタント/潜水士
※社労士は「公的年金に関する唯一の国家資格者」です。

某議員の「年金80歳発言」の真実に迫る

うっちー

こんにちは!うっちーです

最近、SNSやメディアで話題となった某議員の「年金支給開始年齢80歳」という発言について、多くの人々が不安を感じたのではないでしょうか。

しかし、報道の基になったらしき資料を読んでみると、メディアの切り取り報道が誤解を生んでいることがわかります。

今回は、議員の年金制度に関する発言の背景や、真実について解説していきます。

目次

議員の「年金80歳発言」とは?

うっちー

まず、何があったのか再確認しておきましょう。

2024年9月11日にある日刊紙が「戦慄の年金プラン」というセンセーショナルなタイトルで議員の社会保障に対する見解らしきものを報道しました。

(ここではあえてリンクはつけません。閲読率を余計に上げてしまうので。)

その中の次の一文が問題となりました。

年金の受給開始年齢は「80歳でもいいのでは」と語ったこともある。

これを受けて、Twitter(X)においては「年金80歳」というキーワードがトレンド入りするほどの大騒ぎになっていました。

年金80歳なんて、払っている意味ないよね

もらえるまで生きてるかもわからんだろコレ!!

この文だけを見て、「年金が80歳からしか支払われなくなる」と勘違いした人がいらっしゃったようです。

しかしこれ、まったく意味が違う文章からの切り取りなんです

報道の元ネタになっていると思われる、議員のブログ記事があります。

2018年12月に書かれたものです。

該当箇所について、その前後を含めて引用します。

よく誤解されるのだが、受給開始年齢と支給開始年齢は意味が異なる。受給開始年齢はひとり一人が何歳からもらい始めるかであり、支給開始年齢は一律何歳からしか支給しないという年齢を指す。現在、我々が議論をしているのは受給開始年齢の方だ。

我々は、受給開始年齢は八十歳でもいいのではないかと考えている。六十歳~八十歳までの間であれば、受給開始年齢は自分たちで決められるという考え方である。

現在は、六十歳~七十歳の十年間の幅をもって、ひとり一人が何歳から年金を受給するかを決めることができるが、頑張って七十歳まで延ばした時には、年金額は四割上がる。一方で、六十歳で受給するという選択をすると、減額をされたまま、薄く長く支給されることになる。

記事が書かれた2018年当時は年金の繰下げの上限年齢は70歳でしたが、現在は制度改正により75歳まで拡大されています。

報道のもとになっているのは文中の太字にした部分と思われます。

これは、

受給開始年齢を60歳から80歳の間で個人が選べるようにするのがよいのでは?」

という提案です。

年金が80歳からしか支給されない」という話とは意味がまったく違います。

議員の発言は「年金の支給開始を一律80歳する」という意味ではなく、受給開始年齢の選択肢を広げるための提案だったのです。

違う提案をしているのですが、その一部のみが切り取られ、誤解が広がってしまいました。

うっちー

切り取り報道は恐ろしいです…

年金受給年齢の現状とその選択肢

現在、日本の年金制度では、基本的に65歳から年金を受給することができます。(老齢厚生年金・老齢基礎年金)

生年月日によっては60歳代前半に特別支給の老齢厚生年金が受給できます。

ただし、60歳から75歳までの間で、個人の希望で年金の受給を始めるタイミングを選択することができます。

うっちー

これを繰上げ・繰下げといいます。

希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができます。ただし、受給額が減少します。

また、65歳で受け取らずに66歳以後75歳まで※の間で繰下げて年金を受け取ることもできます。繰下げした期間に応じて年金額が増額されます。

※70歳以降の繰下げは2022年4月から始まったものです。生年月日によってはこの選択はできません。

議員の提案は、この選択肢の幅を60歳~80歳まで広げ、受給のタイミングを自らの判断で選べるようにするというものでした。

うっちー

上限年齢がまだ70歳であった2018年当時に、上限80歳までの拡大を提案していたようです。

なぜ「年金80歳」が誤解されたのか?

ここで疑問となるのは、なぜこのような誤解が生まれたのかという点です。

理由の一つは、メディアがセンセーショナルな報道をすることで視聴者や読者の注目を集めようとする傾向があるからです。

「年金が80歳から」というインパクトのある文章は、人々に強い感情的反応を引き起こしやすいです。そのため、メディアがこのような切り取りをした可能性があります。

うっちー

いわゆる閲読率稼ぎですね…

また、年金に関する議論は国民にとって非常に関心が高い問題であり、特に日本の高齢化社会において年金制度の将来は多くの人々にとって不安の種です。

そのため、年金に関する話題が出ると、正確な情報よりも感情的な反応が先行してしまうことが多いのです。

さらに、SNSの拡散力も誤解を広める要因となっています。

短い文章やインパクトの強い一部だけが切り取られ、真実が曲げられて広がることがあります。

特に、Twitter(X)の仕組みが変わり、インプレッションを稼ぐことを目的とする人が増えていることも、これに拍車をかけている可能性があります。

うっちー

インプ稼ぎが目的になっているようなアカウントもありますよね…

議員の提案の意義

では、議員が提案している年金制度の見直しには、どのような意義があるのでしょうか?

まず、高齢化が進む日本社会において、年金制度をどのように柔軟に対応させていくかは非常に重要な課題です。

年金受給開始年齢をの選択の幅を広げることで、個人が自分の経済状況や健康状態に合わせて最適な受給タイミングを選ぶことができるようになります。

2022年4月より75歳までの繰下げが可能になったので、従来よりも選択の幅が広がっています。

例えば、健康で働き続けたいと考える高齢者にとっては、受給開始を後ろ倒しにすることでより多くの年金を受け取ることができるメリットがあります。

また、社会全体の労働力の維持という観点でも、この提案は有効です。

シニア世代の方の中にはまだ働く意欲や体力がある人も多く、そのような人々がより長く働くことができる環境を整えることは、社会にとっても有益です。

うっちー

全員に強制するのではなく、個人の選択を支援するという意味ですよ!

年金の受給開始年齢の選択肢が広がることで、柔軟な働き方が可能になります。

メディアリテラシーの重要性

今回の議員の「年金80歳発言」に関する報道から学べることは、メディアリテラシーの重要性です。

現代社会では、情報が氾濫しており、その中には誤解を生むような不完全な情報や意図的に曲げられた情報も多く存在します。

特にSNSでは、そのスピード感から短時間で情報が拡散され、誤解が広まることが少なくありません。

そのため、私たちはメディアが提供する情報を鵜呑みにするのではなく、自分自身でその真偽を確認する姿勢が求められます。

うっちー

見出しだけで判断せず、全文を読むことや元ネタを調べることが大切です。

まとめ

議員の「年金80歳発言」に関する誤解は、メディアの切り取り報道やSNSの拡散によって広がったものでした。

しかし、実際の提案内容は、受給開始年齢を80歳まで自由に選べるようにするという柔軟性を持たせたものであり、決して全ての人が80歳からしか年金を受け取ることができないというものではありません。

うっちー

そもそも、6年も前の公式ブログ記事に書かれている意見です。

このような誤解が生まれる背景には、メディアやSNSの情報の扱い方、そしてそれに対する私たちの受け止め方が関係しています。

情報が氾濫する社会において、私たちはより慎重に情報を取捨選択し、真実を見極める力を養う必要があるでしょう。

うっちー

最後にお伝えしておきたいことがあります!

今回の騒ぎの中で、「80歳までもらえないなら年金を納めてもムダ」のようなコメントが目にとまりましたが、本当に年金保険料を未納にした場合に不利益をこうむってしまうのは自分自身です。

年金保険料の「支払い」もしくは「免除手続き」は抜かりないようしておくことをおすすめいたします。

年金は老後だけでなく、若いうちから頼りになるかもしれない障害年金もありますから!

本記事は、特定の候補者を援護するような意図はございません。普段、政治家がらみの話題は避けているのですが、今回は世論の勘違いを訂正しておきたくて記事にしました。

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