うっちーこんにちは!うっちーです
令和8年度の年金額等が発表されました。
厚生労働省のプレスリリースを参考に、解説していきます。
改定率と年金額
改定率
改定率等は次の通り。
基礎年金の改定率
1.9%
厚生年金(報酬比例部分)の再評価率の改定
2.0%
基礎年金と報酬比例で改定率が異なるのは、マクロ経済スライド(以下 マク…ド)の調整期間にズレが生じている問題について、次期財政検証での検討を見据えた措置によるものです。
それまでの間に報酬比例のマク…ドが終了してしまうことを回避するため、報酬比例のマク…ドを次期財政検証の翌年度である令和12年度まで継続することとされました。あわせて、厚生年金受給者に不利な影響が生じないよう、この間の報酬比例の調整率は3分の1に抑えらます。
その結果、令和8年度のマクロ経済スライドによる調整率は「基礎年金が▲0.2%」「報酬比例が▲0.1%」と、報酬比例の方が緩やかになりました。
参考:附則 (令和七年六月二〇日法律第七四号) 第3条
なお、改定率は生年月日にかかわらず、一律の引き上げです。
老齢基礎年金の年金額
令和8年度の満額の老齢基礎年金は次の通り。
昭和31年4月2日以後生まれ
847,300円
昭和31年4月1日以前生まれ
844,900円



847300の語呂合わせは『ヤシ並木』🌴🌴🌴でいかがでしょうか?
年金額が2通りになっているのは、令和5年度の改定のときに改定率が分岐したためです。


2級の障害基礎年金、遺族基礎年金の基本額も同様です。
1級の障害基礎年金は2級の障害基礎年金の1.25倍(端数処理なし)ですので、昭和31年4月2日以後生まれは831,700円×1.25=1,059,125円、昭和31年4月1日以前生まれは1,056,125円となります。
老齢厚生年金の年金額
裏付けの資料が出揃うまで閉じています。
【報酬比例部分】
報酬比例部分については、『再評価率』が改定されることで年金額が改定されます。
【定額部分】
定額部分の単価は次の通り
昭和31年4月2日以後生まれ
昭和21年4月2日~昭和31年4月1日生まれ
改定率の参考指標
令和8年度の年金額の改定率の計算に使われた指標は次の通りです。
物価変動率
3.2%
名目手取り賃金変動率
2.1%
マクロ経済スライド調整率(基礎年金)※
▲0.2%
マクロ経済スライド調整率(報酬比例)※
▲0.1%
※令和8年度より、基礎年金と報酬比例とでマク…ドの調整率が異なります。報酬比例に「経過的軽減調整率」が適用されるためです。
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合(実質賃金がマイナス)は、既裁定者(68歳到達年度以後)であっても名目手取り賃金変動率を用いて改定するルールです。
このため、令和8年度も生年月日にかかわらず名目手取り賃金変動率で改定します。



支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とするためです。
物価>賃金 →生年月日に関わらず「名目手取り賃金変動率」によるスライド
物価>賃金の場合の改定については、こちらのリンク先で解説しています。
令和8年度の改定率は、
①実質賃金がマイナス(物価>賃金)であること
②マクロ経済スライドによる調整があること
この2つの影響で、「額面としては増額ではあるものの、物価の上昇には追い付いていない」という状態です。



①の実質賃金がマイナスであることの影響が大きいです…
老齢基礎年金の年金額の計算
今年度の年金額に改定率をかけると翌年金額になる…と思われがちなんですが、これは違います。
平成16年に年金の給付と負担の在り方を見直す大きな改正がありました。このため、老齢基礎年金の年金額は、平成16年度額である780,900円を基本として改定されます。
参考に、日本年金機構のWebの記載をご紹介します。



ではここで、令和8年度の老齢基礎年金の年金額(昭和31年4月2日以後生まれ)を計算してみましょう!
まずは令和8年度の改定率を計算します。
(A)1.065 ×(B)1.021 ×(C)0.998
≒(D)1.085
(A)令和7年度までの累計改定率
(B)名目手取り賃金変動率
(C)マクロ経済スライドの調整率
(D)令和8年度の改定率
この改定率を平成16年度の年金額にかけます。
780,900円×1.085
≒847,277
最後に100円未満の端数を四捨五入します。
847,300円
これが令和8年度の満額の老齢基礎年金(昭和31年4月2日以後生まれの場合)です。
改定された年金が振り込まれるのはいつ?
令和7年度の改定率で計算された年金が初めて振り込みされるのは、
令和8年6月15日(月)です。
年金は「前2ヶ月分の後払い」になっています。
2月・3月分→4月振込
4月・5月分→6月振込
というリズムです。
このため、4月に振り込まれる年金はまだ前年度のもの(2月・3月分)です。
6月に振り込まれる年金から新年度分になります。
なお、振込による受け取りが一般的なので「振込」と表現していますが、じつはゆうちょ銀行・郵便局の窓口における現金受け取りという方法もあります。この場合も、支払日は振込と同じです。
国民年金保険料
国民年金保険料は次の通り。
令和8年度
17,920円
令和9年度
18,290円



国民年金保険料の納付方法には2年前納がありますので、保険料は2年度先まで公表されます。
国民年金保険料は、17,000円を基準に名目賃金の変動に応じて毎年度改定されます。
在職老齢年金
在職老齢年金の支給停止調整額は次の通り。
65万円
(令和7年度は51万円)
令和8年4月より、法改正で支給停止調整額が変わります。条文上の支給停止調整額は62万円で、法改正の各種資料にもそう書かれているのですが、これは改正案ができた令和6(2024)年度の水準の額です。
それから令和7年度、令和8年度とスライドして「65万円」となります。



法改正後を62万円で覚えている方はご注意ください!
支給停止調整額は、令和8年4月1日より62万円(令和6年度水準)に改正されます。令和8年度の実際の支給停止調整額は、令和7年度に用いた名目賃金変動率(2.3%)と令和8年度に用いる名目賃金変動率(2.1%)に応じて改定しています。



在職老齢年金の改正についてはお伝えしたいことが他にもありますので、また別記事で書きますね。
多様なライフコースに応じた年金額
令和7年度の年金額改定のプレスリリースから、新しいページが加わりました。
それが、『多様なライフコースに応じた年金額』です。
年金額の例として、これまでは「モデル年金」が示されていました。
モデル年金は、片働きの夫婦(会社員の夫と専業主婦の妻)の世帯が得られる年金を示したものです。
年金財政の健康診断である5年一度の財政検証においては、標準的な指標としてモデル年金を使用しています。検証のためには毎回同じ物差しが必要だからです。
しかし、若い世代が将来の年金額をイメージする際には、昭和の価値観が色濃く残るモデル年金ではいまいちピンときません。



私の肌感では、今の65歳でもモデル年金のような世帯は少なくなってきています。
そこで、年金の加入パターンから将来のひとり分の年金額の概算が示されたのが、こちらです。


モデル年金のように「夫婦で月額〇〇万円」と示されるよりも、このほうがイメージがわきやすいですね。
平均収入が多いように感じますが、ここには賞与をひと月当たりにしたものも含まれています。
国民年金期間中心の②④⑤と比べて、厚生年金期間中心の①③の方がやはり年金額が多くなりますね。
まとめ
- 年金額が増えるものの、物価上昇ほどには増えない。
- 改定率に新たな分岐はなく、2通りのまま。
- 基礎年金と報酬比例とでマク…ドの調整率が異なる。
- 在職老齢年金の支給停止調整額が改正&スライドで65万円に。
個人的には、年金の改定率が3通り以上になるのを早く見てみたいのですが、今回はそうはなりませんでした。
年金額が物価に対して相応に上昇していくためには、経済成長が「賃金>物価」の状態になることが重要です。







