こんにちは! うっちーです
年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。
問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。
問‐39 経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金
E夫さんへの経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金の請求に関するアドバイスについて、誤っているものを選択する問題です。
ポイント
- 加給年金額・経過的加算の取り扱い
- 障害年金の請求可否
- 問われているのが「経過的な繰上げ支給」であること
選択肢(1)
経過的加算の減額分について
繰上げ請求した場合、老齢厚生年金の経過的加算は金額はそのままで支給開始時期が繰上げされます。
繰上げ時の経過的加算の取り扱いイメージを見る
本来なら特老厚が64歳から支給される男性が63歳0ヵ月で繰上げ請求すると…
このようになります。
選択肢(1)は正しい
選択肢(2)
加給年金額が加算される時期について。
加給年金額はE夫さんが65歳に達する月の翌月分から加算されます。
S36.3+65=S101.3
S101.3-93=R8.3
その翌月はR8.4
選択肢(2)は正しい
選択肢(3)
経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金を請求すると、65歳以降の老齢厚生年金は繰下げ受給できません。
なお、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢に達した後に繰上げ支給を請求した場合は、老歴基礎年金のみ繰上げして老齢厚生年金は繰上げしていない状態になりますので、65歳以降には老齢厚生年金のみ繰下げが可能です。
問39は「経過的な繰上げ支給」についての出題ですので、このパターンが問われることはないかと思われますが、実務ではしばしば起こり得ます。
選択肢(3)は正しい
選択肢(4)
(4)繰上げ請求後に初診日のある傷病によって障害等級に該当しても、障害基礎年金は請求できません。
障害関連では、他にも注意点があります。
・繰上げ請求後は事後重症による障害年金の請求ができなくなる。
・遺族厚生年金の受給権ができても65歳未満の間は繰上げした年金と選択受給になる。
・特老厚の障害者特例(定額部分の支給)を受けることができなくなる。
これらは年アド3級での出題可能性は低いのですが、実務としては重要です。
選択肢(4)は正しい
選択肢(5)
問題文が「経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金の請求に関するアドバイス」となっていることに注意です!
E夫さんの特老厚は64歳からですので、64歳に達する前であれば経過的な繰上げ支給の請求ができます。
それ以降に請求した場合は、老齢基礎年金のみの繰上げ支給となります。(経過的な繰上げ支給ではない!)
選択肢(5)は誤り
問‐40 繰上げ支給の老齢基礎年金の年金額計算
E夫さんが令和6年6月に経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金を請求した場合、受給できる老齢基礎年金の年金額について、選択肢のうち正しいものを選ぶ問題です。
ポイント
- 繰上げの減額率は0.5%か0.4%か?
- 減額率にかかる月数の数え方
繰上げの減額率
R4.4.1の改正により繰上げの減額率は1ヵ月当たり0.4%になりましたが、昭和37年4月1日以前生まれの方については従来の0.5%を使います。
S36年3月生まれのE夫さんの場合は0.5%を使います。
老齢基礎年金の場合は、繰上げの計算に使う月数の数え方は次の通り。
線表
この問題では、月数をひと月でも間違って数えてしまうと、違う答えが出てしまいます。
月数は、このような線表を書いて丁寧に確認するのがよいです。
(8×12+2)ー(6×12+6)+1=21ヵ月
繰上げ請求してから65歳到達月の前月までの月数は21ヵ月です。
繰上げした老齢基礎年金の年金額は
795,000円ー(795,000円×0.5%×21ヵ月)=711,525円
選択肢(2)が正解
まとめ
問39では、問われているのが「経過的な繰上げ支給」ということを意識してください!
問40では、月数の数え間違いに注意です!
改正でR4.4.1以降は減額率が変わっているので、E夫さんの生年月日がS37年4月1日以前なのか、それとも4月2日以後なのかも要チェックですよ!!
以上、問‐39.40の解説でした。
過去問だけでは網羅できない論点の押さえにおすすめ!
私が愛読している年金の本はこちら!
\ 過去問をわかりやすく説明 /
\ 年アドコンテンツの一覧はこちら /