
こんにちは! うっちーです
年アド3級の技能・応用編の過去問について、図解もまじえながら話し言葉で解説していきます。ここでは用語等の厳密な正確さよりも、ざっくりとしたわかりやすさを重視しています。



問題の事例の文章は掲載しておりません。公式の問題解説集をご用意ください。
問‐39 繰上げ支給の老齢基礎年金の年金額計算
E夫さんが令和6年10月中に老齢基礎年金および老齢厚生年金を繰上げ請求した場合、受給できる老齢基礎年金の年金額について、選択肢のうち正しいものを選ぶ問題です。
E夫さんは昭和37年生まれで、特別支給の老齢厚生年金を受給できる世代ではないので、問題文から「経過的な」という文言が消えました。
ポイント
- 繰上げの減額率は0.5%か0.4%か?
- 減額率の計算に使う月数の数え方
繰上げの減額率
R4.4.1の改正により繰上げの減額率は1ヵ月当たり0.4%になりましたが、昭和37年4月1日以前生まれの方については従来の0.5%を使います。


S37年8月生まれのE夫さんの場合は0.4%を使います。
繰上げの計算に使う月数の数え方は次の通り。


E夫さんには特別支給の老齢厚生年金はありませんので、本来の支給開始年齢は65歳です。
線表
この問題では、月数をひと月でも間違って数えてしまうと、違う答えが出てしまいます。
月数は、このような線表を書いて丁寧に確認するのがよいです。


繰上げ請求月:R6年10月
65歳に達する月の前月:R9年7月
(9×12+7)ー(6×12+10)+1=34ヵ月


繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までの月数は34ヵ月です。
繰上げした老齢基礎年金の年金額を計算します。
(E夫さんは老齢厚生年金と老齢基礎年金を同時に繰上げすることになりますが、この問題で求めるのは老齢基礎年金の年金額です。)
761,600円ー(761,600円×0.4%×34ヵ月)
≒658,022円
選択肢(2)が正解
問‐40 老齢給付の繰上げ請求
E夫さんが令和6年10月中に老齢基礎年金および老齢厚生年金を繰上げ請求した場合について、誤っているものを選択する問題です。
ポイント
- 在職老齢年金や雇用保険の給付との関係
- 障害年金の請求可否
選択肢(1)
在職老齢年金について
繰上げ請求した老齢厚生年金も、在職老齢年金の仕組みによる減額の対象となります。
ただ、E夫さんのT社における標準報酬月額は30万円で、繰上げした老齢厚生年金をプラスしても在職老齢年金の支給停止基準額の50万円以下に収まります。
このため、この問題のケースでは在職老齢年金の仕組みによって減額されることはありません。
選択肢(1)は正しい



繰上げした老齢厚生年金が減額されるケースもありえます!
選択肢(2)
「在職定時改定」という仕組みによって在職中に老齢厚生年金の額が改定されることがあるのですが、これは65歳以降の場合です。
E夫さんは65歳到達の年度末まで勤務する予定ですが、65歳に達する前は改定されません。



仮に退職するとしても、本来の支給開始年齢に到達するまでは退職時改定もありません。
選択肢(2)は正しい
選択肢(3)
基本給付金を受給中であった場合、繰上げした老齢厚生年金の一部が支給停止されます。
支給停止は老齢厚生年金の方であって、基本給付金が支給停止されるわけではありません。
選択肢(3)は誤り
選択肢(4)
基本的に、繰上げ請求後に初診日のある傷病によって障害等級に該当しても、障害基礎年金は請求できません。
ところが、E夫さんは初診日においてT社に再就職しており、かつ、65歳到達前です。
この場合は、初診日において厚生年金保険の被保険者であり国民年金の第2号被保険者でもあるので、障害厚生年金を請求し、障害等級の1級または2級に該当した場合は障害厚生年金と障害基礎年金を受給することができます。
ただし、すでに受給している繰上げの老齢給付と両方とも受給することはできず、選択受給となります。
択肢(4)は正しい
選択肢(5)
老齢基礎年金を繰上げすると65歳前であっても国民年金の任意加入はできません。また、免除期間の追納もできなくなります。
選択肢(5)は正しい
まとめ
問39は、月数の数え間違いに注意です!
改正でR4.4.1以降は減額率が変わっているので、E夫さんの生年月日がS37年4月1日以前なのか、それともS374月2日以後なのかも要チェックですよ!!
以上、問‐39.40の解説でした。
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